「え、現物が無い?」
“诶?没有原物吗?”
その日の午後、取引先経由で出社してきた真瀬のところへ行って事情を説明すると、相手は指先で頬のあたりを搔きながら首を傾げた。
那天中午,(仓田)去刚从交易方处那回来的真濑那把事情说明了一下,他用手指挠着脸颊侧着头。
「一応、配送センターでも確認してもらったんですが、真瀬さんが仕入れたドリルは在庫にないっていうんですよ。いくらドリルでも、二千万円といえば相当なユニット数になるはずですから、見落とすわけありませんね」
“我已经先跟配送中心那边确认过了,他们说真濑桑采购的钻头并不在库存中。就算是钻头,但是2000万日元份额的话是相当大的单位数,所以不可能会看漏。
「おかしいな。といっても、急にそんなこといわれても困るんで、ちょっと時間くれますかね」
“好奇怪啊。但话虽如此,你突然跟我说这样的事我也很困扰啊。能给我点时间吗?”
今年五十五歳になる真瀬はそういうと、忙しさを強調するため、ろくに倉田のほうを見もしないでデスクの上を片付け始めた。近づくと、オーデコロンの匂いがする。クソ暑いのに黒っぽいダブルのスーツに派手なネクタイを合わせ、時計は何とかというブランドの高級品——といってもそれは香港出張の際買い求めたニセ物で一日毎に一分進むという噂だ。部長といってもブランド品で固められるほどナカノ電子部品の給料がいいわけではない。
今年55岁的真濑说完后,为了显示自己很忙,都不怎么看仓田开始整理办公桌。走近一点就会闻到古龙香水的味道。明明这么热还穿着双层套装,戴着花哨的领带,手表看起来总觉得是高档品但那只是去香港出差时买的假货,据说每天都会前进一分钟。虽说是部长,但中野电子零件的工资绝非能撑得住高档品的消费。
「金額が大きいので、できるだけ早く確認してもらえませんか。社長に報告しなければならないんで」
“因为金额有点大,所以可以麻烦你早点确认吗?我必要要尽快跟社长报告。”
「はいはい」
“是是是”
めんどくさいそうに真瀬はいい、「ああ、山ちゃん。ちょっといいかな」と部下の一人に声をかける。倉田に付き合っている暇はないといいたいのだ。
真濑一脸麻烦死了的说着,转头跟下属说话“小山你可以来下吗?”他只是想表达他现在没时间理仓田。
「あのね、真瀬さん。もう少し真面目にやってもらえませんかね」角の立たないようにいったつもりだったが、真瀬のきっとなった顔が振り返った。
“我说真濑桑。你可以稍微认真一点吗?”本想圆滑的表达出来,但真濑却转过头来一脸严肃。
「真面目にやれってどういうことだよ。オレが不真面目だとでもいうのか」
“认真一点你是指什么,你是说我不认真吗?”
「不真面目とまではいいませんけど、二千万円のドリルが見当たらないんですよ。もっと慌ててもいいと思うんですけど」
“虽然不能说不认真,但是现在可是2000万日元份额的钻头找不到了啊。我觉得你完全可以再着急一点。”
「無くなったわけじゃないだろ」真瀬は気色ばんだ。「帳簿が間違ってるかもしれないし。そういうのは調べたのかよ」
“又不是不见了。”真濑一下子变脸了。“也许只是账簿出错了。你调查过了吗!”
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