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日语航海士笈川幸司(7):命运的相遇

笈川幸司 2013-02-16 06:15

(本文节选自笈川幸司老师自传,接上篇:《演讲比赛》

若い人たちに知ってもらいたいことがある。それは、「あっ、この人だ」と思った人を見つけたら、絶対にその人をつかまえなければならないということだ。立派な人にお近づきになるというのに、「つかまえる」などと変な表現をしてしまったが、感覚で言えば、子どもの頃、カブト虫やクワガタをつかまえた、あの感覚に近い。

我有些事想告诉年轻人。那就是,当你找到让你有“就是TA”这种感觉的人的时候,绝对要抓住。接近优秀的人,却用了“抓住”这种不搭调的表达,其实就感觉来说,这跟孩提时代抓住独角仙或鹿角甲虫的感觉很接近。

そして、僕は、幸いなことに、その人をしっかりつかまえることができた。もし、あの時つかまえることができなかったら、今頃、僕は何をやっているだろう。自分の運命を恨むような、そんな虚しい人生を送っていたに違いない。もし自分の人生をより良いものにしたいなら、絶対につかまえなければならない!

而我则非常有幸的成功抓住了这个人。如果当时没能抓到手,我现在又会在干着什么呢?肯定是度送着饮恨自己命运的虚无人生。如果想让自己的人生更加精彩,那么你也必须抓住!

僕は中国に呼ばれた人間だ。
中国に来て11年、そう思ったことが何百回もある。僕がくじけそうになったときには必ず運命的な出逢いがあった…。それが事実かどうかは別として、僕自身、そう信じている。

我是被中国召唤来的。
来到中国11年,我无数次这么想过。每次我快要安于现状的时候,必然会有命运的相会……先不管这是否事实,至少我自身是如此相信的。

民間大学で働いていた僕は、ただただ大声で同じセンテンスを繰り返すだけで、授業のやり方を知らなかった。清華大学に来て王燕先生と出会い、発音のなおしかたを体得できた。そして、スピーチコンテストで実績を積むこともできた。しかし、もし駒澤千鶴先生に出会えなかったら、僕は永遠に「最高の授業」を知らずに、悲しい今というときを迎えていたことだろう。

曾在民营大学执教的我只会单纯的大声重复同一个句子,并不清楚讲课方法。来到清华大学后,遇到了王燕老师,学会了纠正发音的方法。另外还在演讲大赛上积累了经验。不过,如果没遇到驹泽千鹤老师,我永远都不会知道“讲课的极致”,而只能活在悲哀的现在吧。

駒澤先生の授業をひとことで言えば、そうだな、芸術だろうか。

用一个词来形容驹泽老师的课堂,那就是——艺术吧。

それまで、何十人かの先生の授業を見学する機会に恵まれた。毎回ネタを用意して、授業を面白く進める先生にも、テレビのクイズ王のようなコンピュータの頭脳を持ってる?と思わせるようなすごい先生にも出会えた。

当时,我也有幸参观过数十位老师讲课。这当中,有每次准备好话题,让课堂乐趣横生的老师,也有如同电视上的抢答王一般让人怀疑堪比电脑的厉害角色。

しかし、一発ノックアウトを食らったような衝撃は、今後も訪れることはないだろう。僕は、今後千年生きようとも、駒澤先生のような教師に出会うことはないと思っている。

不过,能给我一拳扑街似的冲击的,恐怕今后也不会再有了。我就算再活上一千年,估计也碰不到驹泽老师这样的教师了。

初めて彼女の授業を見た日、僕の天狗の鼻が「ポキン」と音を立てて折れた。そして、折れた鼻のことなどどうでも良くなって、彼女の一挙手一投足を目で追った。もう、夢中だった。

第一次见识到她讲课那天,我那骄傲得翘得老高的鼻子“扑”一声塌了。不过我完全没管我那塌鼻子,目光追随着她的举手投足之间。已经沉浸其中了。

彼女は真剣にものごとに取り組む人にしか大事なことを教えないタイプの人だった。だから、いきなり仲良くしてもらえたわけじゃない。まず、僕がやったこと。それは、毎朝学生たちと一緒にジョギングをすることだった。

她属于核心内容只教授给待人处事认真的人那类,因此,不可能立马就能熟络起来。我首先做的事情,就是每天早晨和学生们一起慢跑。

いま考えてみると、滑稽すぎて呆れてしまうが当時の僕は本気だった。

现在想起来,那真是可笑得让人头疼,不过当时的我是认真的。

教案づくりをするとか、授業にきてもらうとか、他に考えることはいろいろあっただろうに…。とにかく、学生たちとジョギングすることが最善と考え、即実行に移した。

像是备课什么的,邀请她来听课什么的,明明还有很多其他可供考虑的方式……总之,我觉得跟学生们慢跑是最好的,于是马上就实施了。

ところが、現実は想像とはかけ離れていた。学生たちに、「一緒に走ってくれ!」と声をかけてみたところ、誰ひとり手を挙げてくれない。仕方なく、クラスでいちばん素朴そうな男子学生・徐君をつかまえ、無理やり走ってもらうことに。すると、徐君の会話力が瞬く間に上達した。すると、「私も一緒に走りたい」と言い出す子が出てきて、半年後には十数人と一緒に走るようになった。朝、夕、晩と走った。土曜も日曜も気持ち良い汗をかいた。

但是,现实跟想象是有差距的。我叫学生们:“跟我一起跑!”的时候,没一个人举手。没办法,我只能逮住班上最老实的男同学小徐,硬是让他跟我一起跑。之后,徐同学的口语立马有了飞跃的进步。然后,也有其他学生说“我也想一起跑”,半年后就有10多个人一起跑了。早上、傍晚和晚上都要跑。连周六日都流淌着畅快的汗水。

まだ答えは出ていないが、教師にとって大事なことは、教師から学生に歩み寄るだけでなく、歩み寄ってから釣り上げることだと、今現在は思っている。

尽管还未出答案,不过对教师来说重要的不仅是教师要主动去接近学生,还要在接近之后激发他们的兴趣。我现在就这么想。

朝から晩まで学生たちと一緒に過ごしていたから、中国人による発音の特徴や誤って使う文法の特徴を、わざわざ文献を調べることなく知ることができた。

由于从早到晚一直跟学生在一起,所以对中国人发音的特征以及误用语法的特点这些,不用专门查找文献我都清楚。

「授業以外は学生と時間をともにしない」とプライドを持っておっしゃる先生もいるが、僕は一石二鳥どころか一石三鳥にも一石四鳥にもなるものだから、「これはやめられない」とはしゃいでいた。

“上课以外不跟学生在一起”,有的老师会带着自尊心这么说,不过这对我不只是一石二鸟,而是一石三鸟一石四鸟的做法,因此我才活跃其中,“欲罢不能”。

「頑張っているわね、見込みがありそうだから授業のやり方を教えてあげるわ」

“你真努力,看你将来还是有望的,我来教你该如何上课吧”

ある日、駒澤先生が僕の前に現れた。僕はゴクリと唾を飲み込んだ。

有一天,驹泽老师出现在我面前。我咽了咽口水。

「このチャンスを逃してはいけない!」

“不能放过这个机会!”

彼女の授業は芸術だ。それは、彼女が日本語教育を徹底的に研究しているのみならず、心理学、交渉術、成功に導くコーチング術など、時間を見つけてはセミナーに参加し、他の日本語教師が永遠に持ち合わせることのない様々な特殊技術を習得しているからに他ならない。それらの特殊技術が、授業中ふんだんに散りばめられているのだから誰だって適わない。

她的课真是艺术。这么说不仅是因为她对日语教育有着彻底的研究,诸如心理学、谈判术、成功指导学等研讨会她也会抽空参加,这就是为什么她有着其他日语老师永远都没有的特殊技能。将这些特殊技能大量融入到课堂上,当然谁也比不过她。

それから二年間、彼女からほぼ毎日マンツーマンの指導を受ける機会に恵まれた。謙虚な言い方をすれば「機会に恵まれた」だが、実際には、この機会に食いつき、根性で「つかまえた」のだ。スッポンのように食いつき、寄生虫のように駒澤先生から離れなかった。「え?そこまではできないわ」と言う人がいるかもしれない、しかし、立派な人にお近づきになって、おこぼれ程度にエキスをいただきたいなんて甘い考えでいたら食いつけるわけがない。一生その人にお世話になる、一生その人のために頑張る覚悟を決めなければ、そこまではできない。

那之后两年,我有幸能每天接受她一对一的指导。说得谦虚点是“有幸”,但实际上我是紧紧咬住机会不放,凭毅力“抓住”的。我就像王八一样咬住不放,如寄生虫般不离驹泽老师身边。可能有人会说“哎哟,我可做不到那地步”,不过,要是不去接近优秀的人,不带着求知若渴的汲取精粹的纯粹精神的话,是没有办法咬紧的。如果你没有一辈子受她照顾,没有一辈子为了她努力的觉悟的话,就做不到这个程度。

前回紹介した伝説の先輩・龔さんは4年前に北京を離れ、東大へ行く直前にこう言った。「笈川先生は、駒澤先生と過ごした二年間に次々と奇跡を起こして、とうとうモンスターになった」と。

上回介绍的传说中的前辈龚同学在4年前离开北京、前赴东大时说过:“笈川老师在跟驹泽老师度过的这两年间不断引发奇迹,终于修炼成精了。”

ちなみに、一緒にジョギングをしてくれた徐君は、ジョギングをしながら覚えた1000以上の諺やオノマトペがのちのち役立った。それらを卒論、修士論文のテーマとして提出、受賞もした。

顺便说一句,当时跟我一起慢跑的徐同学,说慢跑时记住的1000多个谚语和拟声词后来派上了用场。并将其作为毕业论文、研究生论文的主题,后来还获了奖。

ただのジョギングが、ひとりの学生の進路を決めることだってある。彼は現在、浙江省政府で実務をこなしながら、僕が言い続けてきた「仕事ほど面白いものはない」という言葉を後輩たちに言い聞かせてくれている。

不起眼的慢跑有时也能决定一个学生的前程。他现在浙江省政府工作,并将我一直在说的“没有比工作更有趣的了”这句话讲给后辈听。

上篇:《演讲比赛》

(本文由原作者授权转载并翻译。)

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