沪江

日语文学作品赏析《文学座の芸能祭参加について》

岸田國士 2010-01-13 00:00
 文学座はその傾向と能力との許す範囲において、この挙国的行事の一翼に加はることになつた。
 まだ「試演」をつゞけてゐる程度の組織と演技力とをもつて、もちろん、祝祭劇の名に価する壮麗典雅な舞台を創り出すことは望むべくもないが、われわれに近い関係の作家が二三、すべての条件を考慮に入れて、この催しのために快く脚本を書いてくれた。
 そのうちで、内村直也君の「歯車」がまづ手頃といふ事に決まつて、多分四月にはこの飛行館の舞台でお目にかけることができると思ふ。
「歯車」は、所謂「文学座」の色彩を十分に織り込み、しかも、建設的な主観と明朗闊達な雰囲気とをもつて一貫した作品である。かゝる絶対的な「意図」のもとに創られた作品が、作者の才能をどこまで伸ばし得るかといふ興味も大であるが、「秋水嶺」の作者は、殆んど矛盾なくこの仕事をやりおほせたやうである。彼は、既に書きあげた作品と、今なほ取り組んでゐる。おそらく磨きをかけるためであらう。

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