沪江

探病

2011-03-05 15:06
关键词:吉四六さん 庄屋(しょうや)さん 気が利く
むかしむかし、吉四六さんと言う、とてもゆかいな人がいました。 ある時、庄屋さんが風邪をひいてしまいました。 「庄屋さんは口うるさいから、見舞いに行っておかんと、後で何を言われるか分からんからな」 村人たちは次々と見舞いに出かけましたが、ひねくれ者の吉四六さんは、みんなが見舞いを終えた後に、一人で出かけました。 「庄屋さん、お加減はいかがでしょうか?」 「何じゃい、今頃。村の者がみんな早く見舞いに来てくれたというのに、お前は一体、今頃まで何をしておった? 何をさておいても見舞いに駆けつけるのが、礼儀というものではないか」 庄屋さんは、プリプリと文句を言いました。 「いえ、実は、庄屋さんにもしもの事があってはいけないと、お医者さんを呼びに行ったのです。あいにく、お医者さんは出かけておりましたので、また帰りに寄って頼んできます」 すると庄屋さんは、たちまち機嫌を治して、 「そうか、そうか。さすがは吉四六さんじゃ。よく気が利く。さっきは叱ったりして悪かったな。お医者さんには、もう大丈夫だからと言ってくれまいか」 と、吉四六さんを、酒やごちそうでもてなしました。 ところが何日かすると、庄屋さんの風邪がぶり返したというので、村のみんながまた、ぞろぞろと見舞いに出かけました。 吉四六さんが一番最後に見舞いに行くと、庄屋さんは息もたえだえに、 「ああ、よく来てくれた。今度も気を利かせて、お医者さまを呼んで来てくれたか?」 と、吉四六さんの手を取りました。 ところが吉四六さんは、首を横に振って言いました。 「いやいや。 どうも、今度ばかりは助かりそうもないと思って、お寺のお坊さんを呼びに行ったり、お葬式の棺おけやら、お通夜の後に出す料理の材料の手配をして来ました。 それですっかり、遅くなりました」 吉四六さんの、あまりの手回しの良さに、庄屋さんはカンカンに怒りました。 「この馬鹿者! わしは、まだまだ死なんぞ! 気を利かすにも、ほどがあるわ!」 この怒った勢いで、庄屋さんの病気はすっかり治ってしまったそうです。