沪江

日语文学作品赏析《車蝦の茶漬け》

北大路魯山人 2010-01-13 00:00
 えびのぜいたくな茶漬けを紹介しよう。これまた、その材料の吟味ぎんみいかんによる。これから述べようとするのは、東京の一流てんぷら屋の自慢するまきと称する車えびの一尾七、八もんめまでの小形のもので、江戸前えどまえの生きているのにかぎる。横浜本牧ほんもくあたりでれたまきえびを、生醤油きじょうゆに酒を三割ばかり割った汁で、弱火にかけ、二時間ほどげのつかないように煮つめる。
 こんなえびは誰の目にも無論見事だし、一尾ずつで上等のてんぷら種になる材料だから、よほど経験のある食通しょくつうでなければ、やってのける度胸は出まい。これをいきなり佃煮つくだに風にするのは、もったいない気がして、ちょいとやりきれないが、それをやりおおせるなら、その代わり無類むるいのお茶漬けのさいができるわけだ。つまり、本場の車えびを醤油と酒で煮た佃煮つくだにである。
 例のように熱飯あつめしの上に載せる。茶碗が小さければ半分に切ってもいい。それに充分な熱さの茶を徐々じょじょにえびの上からかける。すると、醤油しょうゆは溶けてえびは白くなる。やがて、だしが溶けて、茶碗の中の茶は、よきスープとなって、この上なく美味うまいものとなる。
 季節はいつでもよいが、夏など口の不味まずい時に、これを饗応きょうおうすれば、たいていの口のおごった人でも文句はいわないだろう。
 えびは京阪けいはんが悪くて、東京の大森、横浜の本牧ほんもく、東神奈川あたりれる本場と称するものがいい。こういうものを賞味するようにならなければ、食通とはいえまい。
 この食通も、てんぷらなら二十や三十はわけなくペロリと平らげるが、茶漬ちゃづけという名がつくと妙におじけだす。

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